【感想】『失くした体』斬新な映像体験と苦い青春

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・配信:2019年11月29日

・制作国:フランス

・監督、脚本:ジェレミー・クラパン

・原作、脚本:ギョーム・ローラン

・配給会社:Netflix



Netflixにて鑑賞。本作の評価は非常に高く、72回カンヌ国際映画祭のネスプレッソ大賞を受賞したとの事。正直初めて聞いた賞でしたが、どんなものかと思いみてみました。


話は、切断された手が5本の指を器用に使って動き回り、持ち主を探すというもの。手が移動している最中に、持ち主が手を失うまでのエピソードが挟まれます。


切断された手が持ち主を探し回ると聞くと、何だか不気味に思えますが、手の視点から描かれる世界がとても斬新で面白いんです。


手は持ち主を探すために、いろいろな場所を歩きまわりますが、その中で鳩やネズミに襲われたり、ビルから落ちそうになったり、あるいは川に落ちたり、その一連のアクションがとてもサスペンスフルに描かれます。


なんでここまでハラハラできるかというと、ガラスの破片を触っただけですぐに出血したり、あるいはすぐに火傷したりと、手の脆さが非常にリアルに描かれているからなんですよね。


とてもドキドキしました。


また手が弱く見えるのと同時に、何かに捕まったり、ライターで火をつけたり、ピアノを弾いたり、そんな道具としての手はとてもたくましく見えましたね。


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そんな手の行動と並行して、手の持ち主が手を失うまでの過去が描かれますが、手が水に触れることで海水浴のエピソードに切り替わったり、あるいはテニスボールを握って子供時代を思い出したりという演出も面白いですね。また手と記憶は密接に関わっているのだなと気付かされました。


手の持ち主はナオフェルといって、ピザ屋のデリバリーのバイトをする若者。このピザ屋は時間内に届ける事ができなければピザが無料になるシステムで、常に急かされ本当に辛そうなんですね。無料になった日には店長にどやされます。

(この、間に合わなければピザ無料になるシステムはサムライミ版『スパイダーマン』でも描かれていましたよね)


またナオフェルは子供の時に交通事故で両親を亡くしており、親を亡くしたショックで内気な青年になっているんですね。心を閉ざしたナオフェルは友達もおらず、とても孤独な日々を送っております。


そんなナオフェルですが、宅配先である女性に恋をします。彼はこの恋によって変わるきっかけを得るんですね。図書館で働く彼女に近づくために、本を借りたり、また職を変えたり、今までにない大胆な行動が取れるようになります。


このあたりは見ていてとても感情移入できましたね。

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本作の話の推進力は、ナオフェルが如何にして手を失うかですが、この理由というのが非常に切ないですね。

映画の冒頭からその予兆がちらちら見られ、全てがその瞬間に集約されるところは圧巻でした。

とても話に引き込まれ楽しく観れましたが、もの凄く凝った画の次に雑な画が出てきたりして。日本のアニメーションを観ているこちらからすると、がっかりするところもちらほら。フランス人はそういうのあんまり気にしなさそうですね。


ですが、やはりここまで手にフォーカスを当てた作品は他になく、斬新で面白かったです。個人的に、我々は人生を手によって切り開いていくんだなという感慨を持ちました。


よく考えると、手には多くの神経が通っており、手は体の中で一番多くの物事を経験していますよね。何だか手に感謝したくなりました。


あと、図書館でジョン・アーヴィングの「ガープの世界」を借りるシーンがあるのですが、これは前から気になっていた小説で、見る前に読んでおけばよかったよかったと後悔しました。読んでいれば作品に対する印象も大きく変わったように思います。


あっ、僕は電子書籍よりも、やっぱり紙の本が好きですね。

手に触れる紙の感触が心地よいんですよね。


なのでこの機に「ガープの世界」を読んでみようと思います。











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