【あらすじ・感想・評価】『砂の器』ラスト41分間の美しさと感動

公開:19741019

目次

<スタッフ>

監督:野村芳太郎
原作:松本清張
脚本:橋本忍、山田洋次
製作:橋本忍、佐藤正之、三島与四治
音楽監督:芥川也寸志
作曲・ピアノ演奏:菅野光亮

<キャスト>

今西 栄太郎:丹波哲郎
吉村 弘:森田健作
和賀 英良:加藤剛
高木 理恵子:島田陽子
三木 謙一:緒形拳

<あらすじ・感想・評価>

みなさんいかがお過ごしですか?

僕はこの間、衣替え(遅すぎ)をしてから鼻水が止まらなくなりました。
ホコリにやられたのかな。

さて、映画の話をしましょう。
前回松本清張作品にハマっていると話し『疑惑』を紹介をさせて頂きましたが、今回は『砂の器』を紹介いたします。

→『疑惑』についてのあらすじと感想はこちら

本作はテレビドラマでなんと7回もリメイクされているんですね。
まさに古典中の古典作品。

ですが、正直お恥かしながらどのバージョンも観たことがありませんでした。
でも全くゼロの状態から見るワクワクは何物にも変えがたい喜びがありますよね。

本作は刑事がある殺人事件の真相を追うミステリーですが、
正直、前半の刑事が調査を進める辺りは、淡々とし過ぎていて退屈でした(一回止めて仮眠しました)。

でも我慢して見続けると終盤に思わぬ展開なり、気づいたら親子の絆に泣かされていました。圧倒されましたね。見終わった後あまりの凄さにしばらく放心状態でした。

それではあらすじや見どころなどを感想を交え語っていきます。

【発見された身元不明の死体】

 事の発端は、東京国鉄蒲田操車場構内で見つかった老年の男の死体でした。彼は頭を激しく殴打されており、警視庁は殺人事件として調査を開始します。

担当するのはベテランの今西警部補。彼を演じるのは丹波哲郎なんですが、やはり存在感がありますね。滑舌が悪く何を言っているかわからない部分もありますが、不器用ながら足で稼ぐタイプの刑事を熱演しています。


殺された被害者の身元は不明ですが、前日の深夜、蒲田駅近くのトリスバーで、被害者と連れの客が話しこんでいたことが判明します。

店のホステスの証言で、連れが白いポロシャツを着た若い男だったということと、被害者のほうは東北訛りのズーズー弁で話していたことがわかります。連れの男が犯人なら、血痕が白いシャツに飛び散っていてもおかしくありませんが、血のついたポロシャツは発見されませんでした。

また二人はしきりと「カメダ」と言葉を口にしていたとのことでした。

【「カメダ」という言葉】

 今西警部補は秋田県に「羽後亀田」という駅名があることに気づき、若手の吉村巡査と共に秋田へ行きましたが、なんの手がかりも得られませんでした。ここの秋田での捜査のシーンは今西警部補と吉村巡査が、ダベったり、一緒にご飯を食べたり、また今西が作った俳句を吉村が褒めたりやたらじゃれあっていますね。

帰りの新幹線の中で、手がかりが得られなかったことに多少落ち込む吉村を見て、「ビールでも奢ってやるよ」と今西が言い、二人は食堂車両に移動します。

するとそこには女性たちからサインを求められるサングラスをした若い男がいます。この男は和賀英良といい、人気のピアニストなんですね。意味深な登場です。

2人は東京に戻り、捜査を続けるも一向に事件は進展せず日々が過ぎて行きます。


【夏の紙吹雪】

 そんなある日、吉村は新聞で若い女性が電車の窓からで紙吹雪のようなものをまいていたという記事を見つけます。記事には「紙吹雪が舞い、夏の暑さが一瞬和らいだ」というようなコラムですが、吉村はその紙吹雪が犯人の来ていた白いポロシャツではないかと考えます。

紙吹雪をまいていた女性は高木理恵子というホステスで、吉村が聞き込みに行った後で忽然と姿を消してしまいます。何か怪しいですね。

この女が事件に関与しているのかもしれないと考えた矢先、今度は警察署に被害者の息子が現れます。被害者の名前は三木謙一と言い、息子の話によると、三木は伊勢に旅行に出かけると言って出てったっきり、40日経っても帰って来なかったとのこと。また三木はズーズー弁を話していましたが、秋田とは縁もゆかりもないとことでした。

 

【島根県の出雲と「亀嵩」】

 またも事件は白紙に戻ったかのように思われましたが、今西は島根県の出雲地方で東北地方と似たズーズー弁が話されていることを知り、島根県に「亀嵩」という駅名があることを発見します。最初の手がかりになった「カメダ」は実は「カメダカ」だったんですね。

しかし、島根県の「亀嵩」に足を運び、聞き込みをするも、みな一様に三木の人柄を褒めるだけで、なんら殺害の動機に繋がるような情報は得られませんでした。

今西の足を使った捜査と並行し、吉村も女と事件の因果関係を掴むため失踪した女がまいた紙吹雪を捜索します。これが真夏の炎天下の中、中央線沿線を全駅探して回るという苦行。なんと執念の甲斐あって、紙吹雪を発見します。やはり吉村が思った通り、紙吹雪はポロシャツの断片で、そこには被害者の血痕がついていました。証拠を掴み警察は失踪した女の行方に乗り出します。

失踪した女は、新幹線の中で会ったピアニストの和賀英良と恋人関係にありました。そして被害者の三木謙一は伊勢へ旅行をした後、東京に立ち寄り、和賀英良と会っていたことが判明します。

果たして、事件の真相は…

【まとめ】

 とここまで、事件の発端から犯人特定までを、本編2時間22分のうち約1時間40分かけて淡々と描きますが、ここから残り約41分かけて事件の真相が語られます。

この約41分が、凄いんです!!
今西の会議室での報告のシーンとコンサートのシーン、そして和賀の回想のシーンが交互に映し出されますが、その間、ずっと和賀の演奏するクラッシックが流れ続けます。このピアノ協奏曲の題名は『宿命』と言いい、静謐で叙情的でそれでいて儚く悲しげでなんとも美しい。この曲が画面に呼応する形で終始流れ、とてもエモーショナルな効果を出しています。

そして、ほぼセリフのない、回想のシーンに圧倒されました。
四季折々の自然の雄大さと残酷さの中で、健気に生きる父親と子供の愛情を画だけで表現してしまうんです。またこの事件に至るまでの感情の流れまでを映像で語ってしまいます。なんて雄弁なんでしょう。

最後に
「旅の形はどのように変わっても、親と子の“宿命”だけは永遠のものである」
というテロップが出ますが、この言葉が重く沁みます。

全ては砂の器のようにすぐ風で飛ばされてしまうような、脆く虚ろなものでしかありませんでしたが、この宿命のような親と子の絆だけは本物だったのでしょう。

本作はこの奇跡のような約41分によって、日本映画史に残る不朽の傑作になったと言っても過言ではないでしょう。ぜひこの美しさを体感してみてください。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

本作は
NetflixとAmazonプライムで配信中なのでぜひ見てみてください!

またYOUTUBEで松本清張の『ゼロの焦点』も紹介していますので、よかったら
聞いてみてください!

 ↓↓↓
【ゼロの焦点】はどんな話?大人気推理小説を紹介♫

 

ではまた次回!

画像出典:Yahoo!映画
画像出典:楽天TV
画像出典:ディスクガレージ

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