【あらすじ・感想・評価】『狩りの時間』韓国近未来ノワールの傑作

423日Netflix配信

目次

<スタッフ>

監督: ユン・ソンヒョン

<キャスト>

ジュンソク:イ・ジェフン
チャンホ:アン・ジェホン
キフン:チェ・ウシク
サンス:パク・ジョンミン

 

<あらすじ・感想・評価>

みなさんいかがお過ごしですか?

前回、Netflix配信の話題作『タイラー・レイク 命の奪還』を紹介しましたが、今回は同じくNetflixから最近配信された『狩りの時間』という韓国映画を紹介いたします。

>>『タイラー・レイク 命の奪還』のあらすじ・感想はコチラ

この作品はもとも2020年2月26日に劇場公開が予定されていましたが、コロナウイルスの影響で公開が延期し、結局Netflixで4月23日に配信されることになった作品なんですね。

正直、こんな傑作が劇場で見れないのはもったいないと思いました。
またなんかレビューサイトを見ても評価が低いのも気になります。

Filmarks 「3.4
映画.com3.1
僕だったら4.0はつけますね。正直すごく好きな作品です。

話は貧しい若者4人が一攫千金をかけ、賭博場への強盗計画を実行するという、いわゆるケイパー物なのですが、中盤から一捻りあるんですね。

さらに面白いのが本作は近未来SFなんですよ。

それではあらすじや見どころなどを感想を交え語っていきます。


【3年振りの再会】

舞台は金融が崩壊した韓国のある都市。商店は潰れ、住居に人はおらず荒廃した街はゴーストタウン化しています。お金はウォンが使えず、ドルしか使えない状況になっているんですね。

そんな中、3年の刑期を終え、刑務所からジュンソクという短髪のイケメンが出所して来ます。顔がびっくりするぐらいファンキー加藤にそっくりですね。


このジュンソクを2人の友達が迎えに来ています。
一人はキフンと言い、中村倫也似の韓国イケメンで、もう一人がちょっと小太りのチャンホ。3人は久々の再会と出所を祝い飲みに行きます。じゃれあったり、冗談を言い合ったり、3人は兄弟みたいに仲良しですね。


【犯行の動機は?】

 小太りのチャンホが出所したてのジュンソクに今後どうするかを訊ねると、ジュンソクは2人に、墾丁(ケンティン)というリゾート地へ3人で移住しようと言い出します。
なんでも刑務所で知り合った密輸関係の仕事をしている男が、そのリゾート地で観光客相手の商売をしており、一店舗で月に8000ドルの稼ぎになるとのこと。男は仲の良かったジュンソクに店の一つを20万ドルで譲ると言うのです。

月に8000ドルもあれば、リゾート地で遊んで暮らせます。
しかし20万ドルなんていう大金はありません。

そこでジュンソクは闇賭博場への強盗を提案します。がそれに2人は絶対に反対なんですね。なぜかというと闇賭博場はヤクザが仕切っており、銀行強盗より危険だからです。

でも逆に闇賭博なので、強盗に遭ってもヤクザは警察に被害届を出すことはなく、成功すればむしろ安全と考えるわけです。またその闇賭博場で働く友達のサンスを仲間に入れれば、さらに有利だと考えます。

渋々ですが2人はその夢にかけることにします。闇賭博場で働く友達も仲間になり、ジュンソクがリーダーとなって強盗計画を立てます。


【ケイパー映画の楽しさ】

監視カメラの位置を確認したり、銃を調達したり、移動にかかる時間を考えたり、この辺りはケイパー物の楽しさが詰まっていますね。

そして、4人は闇賭博場への強盗を実行します。
この辺りの緊張感はやばかったですね。半分ビビりながらやっている辺りは昨年日本公開された『アメリカン・アニマルズ』を彷彿とさせます。この作品も青春クライムムービーの傑作でした。

なんと4人は見事強盗に成功するんですね。全てをやり遂げ、多幸感に満ちた表情の4人。もうリゾート地で暮らしているような気分ですね。

協力者のサンスは、分け前をもらい、3人と別れます。

 

【最強の殺し屋】

ですが喜んでいるのもつかの間、取り逃がしたヤクザたちは、ある男に彼らを探すよう依頼します。この男というのが、最強の殺し屋なんですね。まずは武器屋へ聞き込みに行き、彼らへの手がかりを見つけます。

一方3人は韓国イケメン・キフンの実家へ行き、少しのんびりします。
夜は3人でホテルに泊まり、リーダーのジュンソクは悪夢にうなされ夜中に目を覚まします。協力者のサンスが殺される夢を見たんですね。

動悸が治らず、眠れないジュンソクは一人で近くのバーに行き、何度もサンスへ電話をかけますが、何度かけても彼は出ません。

するとあることに気付きます。
あれ、俺が電話をかける度に、奥のテーブルに座る男の携帯が鳴るな

サンスの携帯はその男が持っていたんですね。
はい、その男とは殺し屋です。

 

【深夜の逃走劇】

必死に逃げるジュンソク。
ホテルにいる2人を叩き起こして、ホテルの駐車場に停めてあった車に飛び乗ります。すると車はなぜか動かない。殺し屋に細工をされていたんですね。

他の車に乗り換え、逃走を図りますが、殺し屋の射撃にあい、リーダーのジュンソクは銃口を眉間に突きつけられます。

もう終わりだと、観念したジュンソクに、少し笑みを浮かべて殺し屋はこう言います。
面白い、5分やるから全力で逃げろ。俺を楽しませてみろ」。

ここからタイトルにもなっている殺し屋による「狩りの時間」が始まるんですね。
いやー、まさかこんな展開になるとは思っていなかったので、本当にこのシーンは痺れました。

ここからマンハント(人間狩り)が始まるんですね。僕はこの手の傑作だと「アポカリプト」を想起しました。

 

<『狩の時間』についての考察>

この映画に批判的な人はおそらくこの殺し屋の意図や動機が理解できないのではないでしょうか。映画を見ていても最後までそれは明示されません。

でもそれを明示していたら逆にこの映画は、凡庸な作品になっていたでしょう。明示なんてしなくていいんです。

なぜなら、この殺し屋は不条理の象徴だからです。
災害や不運な出来事に意図や動機なんてないですよね。それと同じだから恐ろしいし、いつ自分の身に降りかかってもおかしくない。

そして唯一理由があるとすれば、それは退屈を満たすためだと思います。
この虚無感は『ブレード・ランナー』のロイ・バッティにとても似ています。
あと、無表情で迫ってくる感じは『コラテラル』でのトム・クルーズを想起しました。

 

<本作の見どころ>

ここから本編約2時間の残り1時間をかけて3人がこの圧倒的不条理に追い回される様が描かれます。感想を読むとこの後半の1時間が間延びしていると言っていた方がいましたが、いやいやむしろここの緊張感とサスペンスが極上です。深夜の病院や廃墟の住宅など屋内を利用した銃撃戦だったり、ノワール独特の暗めの色調だったり、味わい深く見ました。個人的にこの辺りはマイケル・マンの超傑作「ヒート」を連想しましたね。

あとこの映画が良いなと思ったのは、きちんと貧困の問題を描いているところです。
本作も『パラサイト』や『ジョーカー』、『アス』などのような、貧困が根底にあることで起こる悲劇を描いた作品、現在の時流を踏まえた今見られるべき傑作だと思いました。

また「その状況から逃げずに立ち向かうしかない」というメッセージも込められており、見終わって勇気をもらえましたね。

みなさんも時間のある今、ぜひ見てみてくださいね!

 

画像出典:IMDb

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