【あらすじ・感想・評価】『若おかみは小学生!』滅私奉公の先にあるもの

公開日:2018年9月21日

 

<スタッフ>

監督:高坂希太郎
脚本:吉田玲子
原作:令丈ヒロ子、亜沙美(絵)

<あらすじ・感想・評価>

みなさんいかがお過ごしですか?

僕は最近、過ごしやすい気候になっていたせいか、温泉に行きたいなとふと思うことがあります。お風呂から上がって、懐石料理を楽しみながら日本酒を飲む想像をしただけで、よだれが出そう。
コロナ騒動が落ち着いたら近場で良いのでゆっくり羽を伸ばしたいです。

温泉といえば、先日、5/16に「劇場版・若おかみは小学生!」が地上波で初放送されましたね。

僕は映画公開当時、劇場で観たのですが、録画してもう一度見ました。やっぱり何度見ても深く考えさせられる良い作品ですね。

本作は、おっこと言う少女が「春の屋」という温泉旅館で若おかみになるべく奮闘するという話なのですが、働くということについて考えさせられるとともに、生きることについても深く考えさせられました。

それでは本作のあらすじと見どころを感想を交えて語って生きます。

 

【仲の良い家族】

本作の主人公は関織子(せき おりこ)という12歳の可愛らしい女の子。「おっこ」と言う愛称で呼ばれております。このおっこちゃんが両親とともに、梅の香神社での神楽を見ているシーンから本作は始まります。お母さんが「子供の頃、この神楽を踊ってみたかったんだよね」と言って振り付けを真似て見せ、家族で笑ったりとても仲が良さそうなんですね。おっこちゃんもとても幸せそうな表情です。

 

【突然の事故】

次は帰りの高速道路のシーンになり、お父さんが運転する車の中で3人は楽しくおしゃべりをしています。助手席にはお母さんが座り、おっこは後部座席に座っています。おっこの視点から両親を見るショットが続いたかと思うと、突如フロントガラスに対向車線を越えてきた大型トラックが見えます。次の瞬間、そのトラックに車が衝突し、おっこだけは運良く車内から放り出され無傷で助かったものの、両親は亡くなってしまうんですね。ここのシーンは見ているのが辛くなるぐらい衝撃的でした。おっこは事件の際、空に浮かぶ色黒の男の子の幻影を見ました。

 

【春の家旅館】

両親を亡くしたおっこは、唯一の肉親であるおばあちゃんに引き取られます。おばあちゃんは「春の屋」という温泉旅館を一人で切り盛りする女将で、おっこは春の家で暮らすことになります。従業員たちはおっこを暖かく迎え入れ、おばあちゃんはこれからは親代わりになるので、愛情を持っておっこに少し厳しめに接します。

もうここのシーンのおっこちゃんは見ていて辛い。両親が亡くなり、新しい環境で戸惑いがあるはずなのに、礼儀正しく明るく元気に振る舞い、落ち込んだり、悲しんだりする素ぶりは見せません。なんとも健気。

 

【春の家旅館のモデルは?】

この春の屋旅館は、京都市左京区花脊にある「美山荘」がモデルとなっており、宮崎駿監督からこの旅館の評判を聞いて、取材に行ったそうです。

画像出典:pocket-concierge

また劇中に登場する温泉街のイメージは兵庫県の有馬温泉を参考にしているとのこと。聖地巡りをするのも楽しそうですね。

画像出典:RETRIP

【ウリ坊登場】

そんなおっこちゃんの一番の困りごとはと言うと虫なんですね。春の家旅旅館のあちこちに出るヤモリやクモなどに戸惑います。都会から田舎へ来た子供あるあるですね。

自分の部屋にもクモがでて、おっこちゃんは思わず叫び声をあげてしまうと、後ろから「ハッハッハ」という笑い声が聞こえます。声の方を見ると色黒の男の子が立っていました。そう、その彼は事故の現場で見た男の子だったんですね。

この男の子の名前はウリ坊と言い、春の家旅館に住み着いている幽霊なんですね。なぜここに住み着いているかというと、おばあちゃんを見守るためなんですね。おばあちゃんとウリ坊はおばあちゃんが子供の時に仲の良い友達でしたが、ウリ坊は子供の時に亡くなってしまい、以後この春の家旅館でおばあちゃんの成長を見守り続けていたと言うわけです。また、事故からおっこを救い出したのもこのウリ坊なんですね。

 

【おかみ修行】

もちろん、幽霊が現れたことに戸惑いを隠せないおっこですが、ウリ坊の方でも自分の姿が相手に見えていることに驚きます。それと同時に喜びも隠せません。ずっと自分の存在が誰にも認知されていなかったのですが当然といえば当然。そして、ウリ坊はおっこに春の家を継いで欲しいとお願いをします。おっこの両親が亡くなってしまった今、旅館の後継者が居なくなってしまったからですね。ウリ坊からしたらおばあちゃんが大事にしている旅館を途絶えさせたくないんですね。おっこは突然の提案に戸惑いはじめは断りますが、命の恩人の切実な願いを断ることは難しく、引き受けるのでした。ここからおっこちゃんのおかみ修行の日々が始まります。

 

【ウリ坊の正体は?】

はじめは着物にも慣れず、お茶をこぼしたり転んだり失敗を重ねてばかりのおっこですが、従業員やおばあちゃんに助けられながら、徐々に仕事に慣れて行きます。でも一番の心の支えはウリ坊なんですね。このウリ坊がおっこにアドバイスを与えたり励ましたり、おっこを精神的に支える役目を果たしまが、親友でもあり、親代わりのようでもありますね。

それでこの頑張り屋さんのおっこなんですが、両親の夢を毎晩のように見るんですね。つまりあまりにも突然の事だったので両親の死をまだ受け入れられていないんですね。これはうがった見方かもしれませんが、ウリ坊はそんないつ壊れてもおかしくないおっこの精神を支えるため、おっこ自身が作り出したイマジナリーフレンドだったのではないかと想像してしまいます。いつも笑顔で頑張り屋のおっこですが、だからこそいつ壊れてしまうか心配になってしまいますね。

果たしておっこは両親の死を乗り越え、また一人前の若おかみになれるのか…

<まとめ・考察>

というのが本作の大まかな導入部で、この後様々な問題を抱える客が春の家を訪れ、おっこはその客が抱える問題に真摯に向き合うことで客をもてなし、成長していきます。

高坂希太郎監督はインタビューで

この映画の要諦は「自分探し」という、自我が肥大化した挙句の迷妄期の話では無く、その先にある「滅私」ー省略ーを如何に描くかにある。

主人公おっこの元気の源、生き生きとした輝きは、春の屋旅館に訪れるお客さんに対して不器用ではあるが、我を忘れ注がれる彼女の想いであり、それこそがエネルギーなのである!
ある役者が言っていた。役を演じている時に生きている実感があり、家に帰りひとりになると自分が何者か解らなくなると。詰り自分では無い何かになる。他人の為に働く時にこそ力が出るのだと!

引用:公式サイトより

と語っていますが、見終わった後だとこの言葉がとてもよく理解できます。

つまり、人間は自分のエゴや欲を捨てて、他人の為に働いた時にこそ大きな力がでるし、また成長もできるということなんですね。これは究極の仕事論のようで少々ハードルの高いことのように思われますが、要は自分の今いる環境で無我夢中で頑張れば成長できるということですね。(だからと言って社畜になれというわけではないですよ。あくまで自分のできる範囲で…)

そして、それを続けるうちに自分のやれることや特技を見つけ、「自分の目的」「自分が何者であるか」ということに気づき、精神的に強くなるんですね。

そして、そこに辿り着くことで、はじめてその人にとって目を背けたくなるような辛い過去でも受け入れることができるようになるのではないでしょうか?

だから本作終盤でおっこちゃんが言う「私は春の家旅館の若おかみです。」というセリフがとても胸を打つのでしょう。ここのシーンは号泣必至ですね。

 

【本作のメッセージは?】

あと”花の湯温泉のお湯は誰も拒まない”という言葉にはとても感銘を受けました。これって、もちろんどんな人でも、差別しないで公平に接するってことでもありますが、様々な不条理な出来事にも、目をそらさずしっかり向き合うって言う意味でもあると思います。
何事にもしっかり向き合い、常に前に向かって歩んで行くことが大事なんだ」って言うのが本作のメッセージなんだと思いました。

本作は前に踏み出す勇気が欲しい時に見返したい一作です!

ここまでお付き合いくださりありがとうございました、まだまだコロナと共存する生活は続きますが、一緒にこの事態を乗り越えていきましょう!

 

画像出典:IMDb

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