【あらすじ・感想・評価】『ジョーズ』DIY精神で鮫退治

日本公開:1975年12月6日

<スタッフ>

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ピーター・ベンチリー、カール・ゴッドリーブ
原作:ピーター・ベンチリー
撮影:ビル・バトラー
音楽:ジョン・ウィリアムズ

 

<キャスト>

マーティン・ブロディ:ロイ・シャイダー
クイント:ロバート・ショウ
マット・フーパー:リチャード・ドレイファス
ボーン市長:マーレイ・ハミルトン

 

<はじめに>

みなさんいかがお過ごしですか?
僕は最近、先日亡くなった大林宣彦監督の映画を観たり、本を読んだりしています。それで最近大林監督の1作目の作品『HOUSE』を観たのですが、これが凄かった。話は家が旅行に来た女の子たちを食べてしまうというものなのですが、良い意味でぶっ飛んでましたね。この作品は当時大ヒットしていた『ジョーズ』を「日本で作るとしたら?」という発想から広がった作品とのことで、鮫の変わりに家に食べられるっていう発想はやっぱりすごいなと思いました。

それで、このテレビで何度も何度も放送されているパニック映画の古典『ジョーズ』ですが、お恥かしながらまだ一度も観ていませんでした。大好きなスピルバーグの映画でもありますし、いつかは観なければいけないとは思っていたのですが、こういうホラーやモンスター映画はあんまり好きじゃないというのがあって、今まで避けていました。

今回、『HOUSE』を観たタイミングで『ジョーズ』も観たのですが、やっぱり傑作でした!物凄く面白かったです、やっぱり食わず嫌いはいけませんね。

話はみなさんご存知の通り、平和なビーチを襲う人食い鮫と人間の対決を描いた作品ですが、観てみると意外にも人間ドラマに軸を置いた、骨太な映画でしたね。

それでは本作のあらすじと魅力を感想を交えて語って行きます!

 

<あらすじ・感想・評価>

【襲われた女性】

本作はアミティという海辺の田舎町が舞台。冒頭、浜辺で若者達がパーティーをしているシーンから始まります。朝方近く、1組の男女が仲間から離れて、海に泳ぎに行きます。女性の方は元気一杯に泳ぎ回りますが、男性の方はといえばお酒に酔ってへべれけで浜辺で寝そべってうとうと寝てしまいます。
一人楽しく泳ぐ彼女ですが、彼女は突如、何かに抗うように暴れ出します。すると瞬く間に彼女は海中に引きずり込まれてしまいます。

もうここの掴みからして凄いですね。一気にこの映画に引き込まれました

 

夜が明け、町の警察署長・ブロディの元に女性の遺体が打ち上げられたという報告が入ります。現場に駆けつけるとそれは冒頭の女性の遺体でしたが、それは女性の体の断片でした。このシーンは遺体を映さず、見た人のリアクションだけを映すので余計に禍々しい感じがします。

【ビーチ封鎖に反対する市長】

検視の結果、鮫の襲撃だということがわかり、ブロディはすぐに市長の元に行き、ビーチの閉鎖を求めますが、市長はそれに取り合ってくれません。というのもこの町は経済は観光客相手の商売で成り立っており、海開き前のこんな時期にビーチを閉鎖してしまったら、客が来なくなり町の経済が破綻してしまうからなんですね。
市長から「ビーチを封鎖するな」という圧力がかかります。検視医も口裏を合わせたように「実はスクリューに巻き込まれたことが原因だった」と前言を撤回します。「敵は内にあり」状態ですね。
なんか、目先の利益のために今後訪れる膨大な損害に目を瞑るこの状態はどこの国でもどの時代にでもあることですね。渋々、ブロディは了承します。

 

【第二の犠牲者】

海開きの日になり、町中の人々が集います。目を鋭くしてビーチを監視するブロディ。ここには市長の姿もあります。子供達は水の中ではしゃぎ、大人達は浜辺でくつろぎます。すると海に一人の少年が引きずり込まれ、後から大量の血が流れだします。ブロディと市長の目の前で一人の少年が犠牲となってしまいました。流石に鮫の仕業だと認めざるを得ない市長はなんと、この人食い鮫に3000ドルの懸賞金を出し、この懸賞金目当てに全米からハンター達が集い、ビーチは彼らで埋め尽くされます。

【フーパーの発見】

そんな中、鮫についての知識が一切ないブロディは海洋学者のフーパーを協力者として招き入れます。フーパー遺体安置所に行き、初めに被害にあった女性の遺体を見て、その傷口からこの町を襲っているのはとてつもなく大きな鮫だと推測します。

ビーチに戻ると、ハンターの一人が一匹の鮫を捕獲していました。喜びに沸く人々、マスコミの前で市長は満面の笑みを浮かべます。これで一見落着と思われましたが、フーパーだけは硬い表情のままです。遺体に残る噛み跡のサイズより、捕らえられた鮫の口のサイズは明らかに小さかったんですね。

ブロディとフーパーは協力して捕まった鮫が町を襲った鮫ではないことを必死に訴えますが、市長をはじめ人々は取り合ってくれません。この辺りは見たくない現実に目を背けてしまう人間というものがよく描けていますね。

 

【鮫退治へ】

そして町には、大量の観光客が押し寄せ、ビーチは大量の人々で埋め尽くされます。そんな中また巨大鮫による犠牲者がでてしまうのでした。流石に市長もここまでくれば自身の誤りを認めます。そうなると、本格的に巨大鮫を退治しなければならないのですが、そこで白羽の矢が立ったのが、地元の漁師であるクイントです。荒くれ者で年は初老に近いですが、何匹もの鮫を退治してきた実績があります。
ブロディとフーパーとクイントは共闘して、巨大鮫退治へと向かいます。果たして3人は巨大鮫を討つことはできるのか…

【なかなか鮫が出て来ない理由とは?】

ここから後半の約1時間が始まるんですが、なんとここまでの前半1時間の間、巨大鮫の姿は一切見えません。なんと人々のリアクションや演出で巨大鮫の存在を描いているんですね。この辺りは本当に凄い。
また鮫の視点から人々を襲うという演出も見事で、より恐怖を増す効果があります。
恐怖といえば何と言ってもジョン・ウィリアムズによる劇伴ですね。あの今にも迫り来るような緊迫感は本当に素晴らしい。

でもこの演出には鮫を出したくても出せないという事情があったようです。というのも撮影当初、機械仕掛けのサメを用意していましたが動き出すや海底へと沈み壊れてしまったとのこと。限られた制作費と日数の中で映画を取らなければならず、苦肉の策として鮫を映さない演出方法を取ったんですね。そんな状況で第1級のサスペンスを作ってしまうのだから、やはりスピルバーグは只者ではありませんね。まだ当時28歳だったそうですから、天才として言いようがありません。

それで、後半は鮫との直接対決になり、否が応でも鮫を映さなければなりませんが、これは鮫の顔だったり、尾ひれだったり一部分を映したり、また鮫の全身のショットは記録映像を利用して描いているらしいんですね。もうそれでこんなに緊迫感のあるシーンに仕上げるのだから本当にすごい

 

【キャラクターの動機】

またそれぞれのキャラクターが鮫と向き合わなければないらないという動機がしっかり描かれているため、話の推進力が損なわれません。

ブロディには自分が初めに鮫に気付いたのに事態を止めることができなかったという自責の念や、また海に対するコンプレックスが動機となり、特にクイントの動機にはゾッとさせられました。

クイントは第2次世界大戦時に従軍し、巡洋艦で原爆を移送するという任務を極秘にしていましたが、日本軍に艦が撃沈され、乗っていた1001人の兵士達は海に放り出されたてしまったとのこと。クイントは仲間達と共に海面に浮かびながら助けを待つことになりますが、そのうち一人ずつ鮫に食われて行き、最終的に救助されたのは316人だったとのことです。彼は以後、鮫への怨念を燃やすようになるんですが、とても強烈な話ですね。
このエピソードは「ジョーズ2」で脚本をすることになるハワード・サックラーが考え、「地獄の黙示録」の脚本で有名なジョン・ミリアスがディテールを加えていったとのことです。

このように動機がしっかりあるお陰でクライマックスで大きなカタルシスが得られるようになっているんですね。

本作はさらに社会風刺まで含んだ憎らしいほどウェルメイドな作品。
DIY精神で生み出した、まさに古典と呼ぶにふさわしい第一級品のエンターテイメントでした。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
もし未見でしたら今ならNetflixで視聴可能ですので、是非観てみてください!

 

画像出典:IMDb

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